こんにちは!ニナ(@_ninahaus_)🦆です。
先日アダム・コクラン(@adamscochran)氏がUSDステーブルコインであるTUSDを個人的に調査していたことをツイートしていました。私はTUSDをHODLしていませんし、Tronチェーンの動向も追っていません。調べながら読んだので、同じような人のためににふんわり和訳してみました。
※本記事はコクラン氏が調査の上、彼の考えを書いたものの和訳です。私がイチから作成したコンテンツではなく、また現在進行形のイベントであることから、今後内容の正誤や情報更新が行われる可能性があります。
- 本記事内ではTrueUSDをTUSD表記で統一しています
- 訳した部分は「」で囲みました
- 昨今のTwitterは動きが不透明なため、リンクだけでなくスクリーンショット画像も貼っています。この記事のロードが遅かったらごめんね!
- アダム・コクラン(Adam Cochran)氏って誰?
- ツイート訳
- ① そもそもなぜ独自調査を始めたのか
- 🦆背景調査:何に対してTUSDはこう反応したのか?
- ② 協力者への謝辞
- ③ 最初の赤信号
- ④ 誰が口座の持ち主なのか?
- ⑤ これらの名前はBittorrent関連会社にも
- ⑥ 全ての線が繋がる時
- ⑦ さらに線は繋がっていく
- ⑧ 市民権の点も確認してみよう
- ⑨ 過去のインタビューからも考察してみよう
- ⑩ 過去に流出したIDを参照
- ⑪ どうして家族が関係するのか?
- ⑫ 家族の名前は色々な企業の役員会に
- ⑬ 中にはTronロゴを持つ会社も
- ⑭ Googleアーカイブも確認しよう
- ⑮ さらなる親族
- ⑯ 家族経営
- ⑰ Bittorrentとの関連性
- ⑱ 実態のなさそうな電子機器メーカー
- ⑲ クリプト有名企業での勤務歴を持つ電子機器メーカー社員たち
- ⑳ スマコン開発者を探す人たち
- ㉑ Huobiとの関連性
- ㉒ ここまでのおさらい
- ㉓ 一体なぜ?
- ㉔ 明らかなこと
- ㉕ TUSDを信じるか?
- 追記:コクラン氏の考え
- その後も本スレッドを引用し畳み掛けるコクラン氏
- おまけ:TUSDはPancakeSwapのSyrup poolでもある
- 終わりに
アダム・コクラン(Adam Cochran)氏って誰?
コクラン氏の経歴として、最も知られているのはDuckDuckGo(検索時エンジン)です。彼はDuckDuckGoでマーケティング・事業開発担当を経た後、非常勤教授・投資家・マーケティング/戦略担当とマルチタレントを発揮してきました。専門分野はフィンテック・人工知能・バイオテクノロジー・行動経済学と多岐に渡ります。
クリプトに関してはTwitterでは長いスレッドを投稿することで知られており、私の知る限り過去最高記録は206ツイートのスレッドです。自分で調べて考えを投稿する人なので、私はコクラン氏が好きでよく参照しています。
以前にもFTXに関する82ツイートのスレッドを訳していますので、興味のある方はどうぞ。
ツイート訳
① そもそもなぜ独自調査を始めたのか
「去る5月、ジャスティン・サンと関係があると少し示唆しただけで、TUSDは私を訴えると脅してきました。当然、私はTUSD、Huobi、そして世界中にある彼のシェル・カンパニーにおけるジャスティンの所有権を証明するために情報を掘りました。」
ジャスティン・サン
トロンDAOを創設した中国人アントレプレナー。しばしばオンチェーンで大金を動かし、業界をザワザワさせる。
シェル・カンパニー
企業買収時、株式の取得を目的として設立される経営実態のないペーパーカンパニーのこと。
コクラン氏が添付したスクリーンショット画像内で、TUSDはこうツイートしています。
「1) TUSDはジャスティン・サンによって所有されたことはない。これは、監査法人やChainlink、提携銀行との協力によるTUSDのリアルタイムのProof of Reserveを中傷する卑劣な行為である。
2) 我々は、あなたの名誉棄損に対し法的手段に出る権利を留保する。」
🦆背景調査:何に対してTUSDはこう反応したのか?
この前に何があったのか、ひとつずつ見ていきましょう。
クリプトニュースメディアである@Protosが 「TUSDの秘密鍵の管理がTechteryxに移管されたこと」を記事にしました。ツイートには記事冒頭のスクリーンショットも付けられています。
「TUSDは、Binanceが手数料ゼロの取引ペアのひとつとして採用したこともあり、3ヶ月間で時価総額が9.5億ドルから25億ドルに増加した急成長中のステーブルコインである。
2020年、「Techteryx」と呼ばれるミステリアスな複合企業がTUSDを買収し、TUSDの新しい所有者となった。Techteryxは公式発表で「TRONと協力するアジアベースのコンソーシアム」と説明されている。MakerDAOフォーラムにおける発表では、「TUSDの新しい所有者はJustin Sunだ」という声に対して「そうではない」と明確に述べている。」
これに対し、コクラン氏が引用ツイート。
「ジャスティン・サンの複合企業はTUSDを買収したが、まだ当初のアメリカ人オーナーに管理費を支払っていた。
その後、オフショアの銀行に移され、今度は秘密鍵の管理権が移され、実際の裏付けのないまま時価総額が拡大していく。」
これに対しTUSDは引用ツイートで反論し、それを今回コクラン氏が「脅し」として参照しているわけです。
これはクリプト業界に限ったことではありませんが、会社やプロジェクトなどの組織側が公の場で個人相手に法的手段をちらつかせるのは得策ではないと思います。印象が悪くなりますよね。本当に法的手段を取るのであれば粛々と進めれば良いだけで、今回のようなツイートは威圧と取られても仕方がありません。
しかしながら、TUSDのTwitterフォロワー83.7k人に対し、コクラン氏のTwitterフォロワー数は198.8k人。TUSDは彼の拡散力を恐れたのかもしれません。現に私のように他言語に訳して再発信するようなファンもいるわけですし…。
※5月時点のフォロワー数は違ったかもしれませんが、TUSDフォロワー数がクリプト界ご意見番と化しているコクラン氏を超えていたとは考えづらいです。
なんにせよ、TUSDの法的手段チラチラ自衛がコクラン氏の調査モチベーションに火をつけてしまったわけです。
② 協力者への謝辞
「これは単なる要約です。個人的/機微な情報は妥当な範囲で削除してあります。
フルドキュメント、追加の写真や情報は、もっと深堀りできるようジャーナリストたちに提供しました。
情報を共有してくれた数十人の人々に感謝します。」
TUSDの姿勢に対抗するように、コクラン氏もかなり強気に出ています。背後には多くの情報提供者および提携ジャーナリストがいることを示唆しました。
③ 最初の赤信号
「私が最初に目にした赤信号は、監査人からの報告書でした。
そこにはこう記されていました。
1) Techteryxの”エージェント”が口座を開設した。
2) それは通常の法人口座であり、FBO口座でもなければ倒産隔離口座でもない。」
FBO口座とは
FBO は「For the Benefit Of」の略で、金融用語で、口座保有者の利益のため第三者によって開設および管理される口座です。 この第三者は通常、銀行や信託会社といった金融機関です。
④ 誰が口座の持ち主なのか?
「これらには、TUSDの幹部と思われる2人が繰り返し署名しています。
- Jennifer “Yiying”/”Yiyang” Jiang
- Steve Liu
いずれもシンガポール企業Techteryxの従業員と考えられますが、もちろんシンガポールはそのような会社は存在しないと主張しています。」
⑤ これらの名前はBittorrent関連会社にも
「実際、Steve Liu、Jennifer Jiang、Yiying JiangないしYiyang Jiangは、シンガポールのどの会社の役員でもありません。
しかし、”Yiying Jiang”は別の会社で表示されます。Bittorrentが買収したDLiveの英国持株会社DTV Limitedの役員として。この会社はYuchen Justin Sunによって所有されています。」
⑥ 全ての線が繋がる時
「現在、BitTorrentはRainberryという持株会社に所有されています。そこにはJustin Sunと、Techteryxのもう一人の重役と思われるSteve Liuの名前があります。」
⑦ さらに線は繋がっていく
「もしかしたら、これらはBitTorrentの元幹部たちが作ったファンドなのでしょうか。
いいえ。
当初Augustech LLCの下で保有されていたPoloniex(CEX)を確認すると、Sunの所有権が認められる以前には彼に代わってJennifer Yiying Jiangが保有していたことがわかります。」
⑧ 市民権の点も確認してみよう
「また、英国の出願書類(住所は削除済み)には、Yiying、Justin共に「Kittitian」、つまりセントクリストファー・ネイビスの市民権を持っていると記されています。
私たちが知る限りでは、Justinは島の市民権を得るため従業員を連れて行ったわけではありません…しかし…。」
⑨ 過去のインタビューからも考察してみよう
「インタビューで語られていることのひとつに、Justinは両親のために複数の島国で市民権を申請していたということがあります。
生年月日からするに、YiyingはJustinの母親というには少し若すぎます。義理の母親なのかもしれません。」
⑩ 過去に流出したIDを参照
「以前、彼の家族データがTwitterで流出しました(IDや家族の名前は削除済)。
彼の父親である”Sun Weike”(後述)には17歳の娘がおり、彼女はJustinの義母妹です。」
⑪ どうして家族が関係するのか?
「さて、なぜここでSunの家族が関係してくるのでしょう。
もし中国語が読めるなら、下記の中国企業構造のスナップショットを見てください。」
⑫ 家族の名前は色々な企業の役員会に
Justinの父であるSun Weike(孙维柯)を調べると、彼が関連する中国本土の企業が巨大な網の目のように張り巡らされていることが見えてきます。彼は次のメンバーと共に取締役会にも名を連ねています:
- Justin Sun
- Jiang Yiying
- Li Jinmei
- Sun Linke (私はJustinの叔父であると推測)
⑬ 中にはTronロゴを持つ会社も
「そのうちのひとつが、Justin Sunが重役として名を連ねている瑞宝北京科技有限公司です。この会社はトロンのロゴを社のロゴとして掲げています。」
⑭ Googleアーカイブも確認しよう
”深圳兰宇网络科技有限公司”または”Shenzhen Lanyu Network Technology Co. Ltd”があります。
Googleは、役員がSun WeikeからSun Linkeに交代したというニュースクリップをアーカイブしています。」
⑮ さらなる親族
「この会社と他のいくつかの会社は、Li Jinmeiという人物が所有しています。
私はLi氏に関し100%確信を持っていないので、私が考えている人物をdoxするつもりはありません。
しかしながら、私は彼女を中国国外に住むSun Weike氏の前妻ではないかと思っています。だから彼らは彼女の名を文書に掲載しても安全だと考えているのでしょう。」
⑯ 家族経営
「スペルミスを考えれば、Li Jinmei/Jennifer Yiyang/Yiying Jiang/Jiying Jiangは、様々な名前を入れ替えて使っている同一人物かもしれないし、親戚の名前を本人たちの知らぬ間に使っているのかもしれません。
しかし、はっきりしているのは、彼らがJustinの中国法人を運営しているということです。」
⑰ Bittorrentとの関連性
「では、Shenzhen Lanyu Network Technologyが単なる別会社ではないことを、どうやって知ることができるのでしょうか。
第一に、そこで働くSherry Sunのプロフィールです。彼はこれまでBittorrentの話しかしていません。」
⑱ 実態のなさそうな電子機器メーカー
「Shenzhen Lanyu Network Technologyは電子機器メーカーであるものの、AliExpressで何かを販売したことはなく、在庫のリストさえありません。
(偽の電子機器会社は、SBFが”North Dimension”の銀行口座を取得するために使用したのと同じものであることに注目)」
⑲ クリプト有名企業での勤務歴を持つ電子機器メーカー社員たち
「Michelle Liのように、Shenzhen Lanyu Network Technologyで働いているが、Binance、Huobi、Kucoinのリスティングに携わったとも記しているような従業員のプロフィールもあります。
また、QAアナリストのHong Liangは、Bittorrent、Tron、DLiveTVのQAを担当していますが、彼もまたShenzhen Lanyu Network Technologyで働いています。」
⑳ スマコン開発者を探す人たち
「Li Jingmeiをオーナーとし、スマート・コントラクト開発者を募集している求人リストもあります。
Google Cacheでは、株主としてJustin Sun、ロゴとしてBittorrentが表示されています。」
㉑ Huobiとの関連性
「Yiying Jiangに話を戻します。別名Jennifer Jiangは、Techteryxを代表して署名しています。
彼女はまた、ドバイを拠点とするHuobiイノベーションのディレクターとしてリストアップされています。
JustinはHuobiのアドバイザー”だけ”を務めていると言っていますが。」
㉒ ここまでのおさらい
「まとめしょう。
- Justinとその家族に関連する組織は、Huobiや中国の持株会社、そしてPoloniexを所有している
- これらの組織はTechteryxの署名取締役として指名されている
- Techteryxは上場企業ではなく、代理人がスイス銀行口座を開設した」
㉓ 一体なぜ?
「どうしてこんなことをするのでしょう?
詐欺、自己資金の中国内外への洗浄、合法であるが非常に愚かな行為など、さまざまな理由が考えられます。
なぜこのようなシェルゲームが行われるのかは明確ではありません。
しかし、合法的なものであるなら、Justinがそれらを所有していることを明言して透明性を持たないのはなぜでしょうか。」
㉔ 明らかなこと
「明確なのは、TUSD、Huobi、そして中国のシェル・カンパニーがJustin、彼の家族、およびパートナーと関連しているということです。
そして、この仕組みは彼が実質的な所有者であることを隠蔽するために設計されています。
つまり、おそらく金融規制とは合致していない可能性があるのです。」
㉕ TUSDを信じるか?
「この仕組みがどこまで続いているのかは分かりませんし、どれだけのお金があるのかも不明です。
しかし、もしあなたがTUSDを信頼するなら、Justinと関連する人々がキーを持つ押収リスクのあるステーブルアセットを信頼していることになります。
もしかしたら、彼は自分自身の資金を合法的に海外に移しているだけかもしれません。しかし、それは本当にリスクに値するのでしょうか?」
追記:コクラン氏の考え
「追記:ここではまだ解明されていないことがたくさんありますが、TUSDだけに焦点を当てています。
私はJustinが他に何をしているかは気にしません。彼が正直であれば、人々は自分自身でどのプロジェクトをサポートするのか選ぶことができます。
でも、もし嘘をついていて、人々を訴えてやると脅しているのであればそれは愚かなことです。」
「今後数日のうちに、@CasPianceyなどのジャーナリストから、この件をより深く掘り下げ他の関連性を探る記事が出るでしょう。
彼は私の要約以上の素晴らしい仕事をするはずですよ。」
「参考までに、TechteryxのBVIエンティティなどの他の情報も入手しています。ジャーナリストにも転送します。
実際の役員がその文書に含まれているのかどうかは非常に興味深いですが、おそらくYiyangが含まれているでしょう。」
「驚くことに、Tron社の中国本土法人を運営するのはLi Jinmeiでした。@tier10k、ありがとう。」
「私のスレッドに加え、Data Finnが彼らのデータベースでTUSDの奇妙な数字を発見しました。
もしCZがTUSDの構造を見逃し続けているのであれば、Binanceも関与していると思われるでしょう 🤷♂️」
Data Finnのツイートはこちら。
「@fozzydiablo、TUSDデータのすべてのウェイバックエントリを取得しました。興味深い情報が埋まっています。
彼らはチェーンに残高を割り当てています。おそらく、それが発行時の米ドルの入金先なのでしょうか?」
- 4月からptより資金を引き出し始めた
- 3月の数十億ドル発行にはCap Unionが使用された
- 1st Digitalはほとんど活動が見られない。最後まで500億ドル前後で安定してい
- SBNYとSIの資金は、追加の10億ドルとともにCap Unionに送られた
- 最近のB to Flowbankは部分的に1st Digitalから来たものだが、再び追加の5億ドルが現れた(これらは非常に怪しい)
- 米ドルの合計が一致していないように見える。ptは4月に247から93に減少しました(ごくわずかなTronのフローで相殺されます)。数週間後、Cap Unionも非常に似た金額だけ急増しました。その資金はどこから来たのでしょうか?我々はそのような時価総額の急落・急増を見ていません。これは、アテステーションが自動化されていない可能性が高いことを強く示唆しています。アテステーションある主張や記述が真実であることを証明するため行われる手続きや証拠提出のこと。ここでは、TUSDのデータの信頼性や正確性に関連して、自動化されたアテステーションプロセスが適切に行われていない可能性…つまり、データの正確性を確認するための適切な審査や検証が行われていなかった可能性があるということ。
- 1st Digitalの口座は利子を稼いでいないように見えます。四捨五入された数字や完全に変動しない値は疑わしいです。たくさんの疑問があります。
その後も本スレッドを引用し畳み掛けるコクラン氏
「CZとJustinがFUDと考えたものを無視したのはいつでしょうか?
通常、彼らはどんなリソースからの発信でも”4”や”FUD”といって即座に一蹴します。
ところが今回は、CZ、JustinそしてTUSDは、他の宣伝ポストは投稿し続けているにもかかわらず、本件に関しては沈黙を保っています。
これがすべてを物語っていますね。」
「考えてみてください。もしもあなたが世界最大の取引所なら、評判や尊厳を危険にさらして、こんなにめちゃくちゃなものとパートナーシップを組み、それを担保にし、無料トレードやリワード・プールを提供するリスクを負いますか?
たった30億ドルのために?
いいえ。
そんなことにはなりません。”せざるを得ない”場合を除いて。」
おまけ:TUSDはPancakeSwapのSyrup poolでもある
PancakeSwapはTUSDを2度Syrup poolに迎えています。
1回目:2022年5月
2回目:2023年6月
終わりに
スレッドの最初の方で述べられていたように、全ての情報は出されていないとのこと。クリプト業界はまだ一波乱あるのかもしれませんし、これらは全て杞憂で何もないのかもしれません。今回のコクラン氏のスレッドをひとつのインプットとして受け取りつつ、自分で検証することが大切です。
コクラン氏が気になった方は彼のTwitter、Substackのフォローをどうぞ!ときどき日本語発信もしてくれます。
寄付をいただけると大変励みになります🦆
0xb0c12f825c53E665e119fef5C3108d58c1e38db8