こんにちは、ニナ（@_ninahaus_）🦆です。
突然ですが、皆さんは複数のチェーンに分散投資していますか？それとも己の信じるチェーン1本に絞って投資していますか？
私自身はチェーンに関係なく興味のあるプロジェクトを触るタイプなのですが、ここ1年はチェーン探検をサボりがちだったためよく知らないチェーンがたくさんあります。これから各チェーンを調査して詳細を紹介していくに先立ち、まず一部を私の独断と偏見で紹介したいと思います。
*注釈がない場合はほぼDeFiを念頭に語っています。
はじめに：各チェーンのTVL分布
TVLとは”Total value locked”の略で、各チェーンに預けられた資産の価値を表し、「プロトコルの規模」として利用されます。
こちらはデータサイト「DeFiLlama」による2022年10月18日現在のTVLシェア。
6割近くをイーサリアムが占めており、圧倒的に資産を集めていることが分かります👀
次は各チェーンのTVLシェア推移です。
2021年初頭まではほぼイーサリアム(青色)の独壇場でしたが、5月にBSC(紫色)がシェア18％を記録したあたりから、他のチェーンもじわじわと増えています。2022年に伸びているのはTron(ピンク色)です。
では各チェーンを見ていきましょう。
DeFiLlama記載分だけで149個あり、すべてを紹介するのは困難なためアヒルセレクトとなっております。先頭の数字はTVLランクです。
各チェーン紹介
1．Ethereum [イーサリアム] (ETH)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
■個人的な印象
DeFiといえばETHチェーン。
圧倒的な知名度、開発者数、大型プロジェクト数を誇り、マキシ(通称イーサリアン)も多い。業界大手のプロジェクトの本拠地はだいたいここ。NFTの本場もここ。ただし他チェーンに比べるとガス代が高いため、少額投資家やビギナー向けではないとされています。
■有名な人
Vitalik Buterin [ヴィタリック・ブテリン]
Etheriumを創設したロシア系カナダ人。1994年生まれの28歳。
ホワイトペーパー執筆時は20歳という若さであり、天才と名高い。
■大手プロジェクト
Curve、Uniswap、MakerDAO、AAVE、Balancerなど多数。
2．Tron [トロン] (TRX)
エンタメデジタルコンテンツをコスパ良くシェアするための分散型ストレージプラットフォームをホストすることを目的としたブロックチェーン。
■個人的な印象
2022年に勢いを伸ばしているものの、界隈では「TVLのほとんどがJustinの資金」とネタにされている。真偽は不明。
実は使ったことがないので使用感はレポできません。
■有名な人
Justin Sun [ジャスティン・サン]
トロンDAOを創設した中国人アントレプレナー。1990年生まれの32歳。
ファイル共有ソフトウェア・BitTorrentのCEOでもある。超著名投資家ウォーレン・バフェットとランチする権利を460万ドルで競り落とした話は有名。
■大手プロジェクト
JustLend、SUN、JustStablesなど
3．BSC [BNB・スマートチェーン] (BNB)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
世界一の取引高を誇るCEX：Binance(2022年10月時点)によるバックアップが安心材料としてあげられる反面、中央集権的な性質が非難されることも。
■チェーンの改名について
2022年2月、BSC(バイナンス・スマートチェーン)からBSC(BNB・スマートチェーン)に改名しBinanceとチェーンの繋がりの希薄化を図ったものの、あまり功を為しませんでした。
*「BNB Chain」は「BNB Beacon Chain」と「BNB Smart Chain」の総称。
しかしながら「BSC」を意味して「BNB Chain」が使われる場合がとても多く、中の人たちですらごっちゃに使うので細かく気にしなくて良いと思います。
■有名な人
CZ
BinanceのCEO。中国出身、カナダ育ち。1977年生まれの45歳。
■大手プロジェクト
PancakeSwap、Venus、BiSwapなど
■小ネタ
PancakeSwapのコミュマネによるCZに関連する発言。
4．Avalanche [アバランチェ] (AVAX)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
Ava Labsが開発を率いており、ビットコインやブロックチェーン開発に関与したコンピュータ科学者であるエミン・ガン・サイラー氏が共同設立者として名を連ねています。
■個人的な印象
登山Noobなので表面的なことしか言えないけど、Avalancheはグラフィックデザインが全体的に幾何学！ポップ！しててとても特徴的。チェーン名を出されなくても「これAvalancheだな」と分かるのでデザインの勝利を感じます。(突然のデザイン評論会)
小ネタ：
Avalancheの筆頭DEXはTrader Joe。
PancakeSwapがトークノミクスを一新した際「なんかトークノミクス似てる」と公式アカウントからリプしたり、PancakeSwapのTwitterスペースにスピーカーリクエストを出したり(リジェクトされた)とかなりお茶目さんのようです。
Some familiar tasting Tokenomics you have there.
Delicious. pic.twitter.com/KFRZvULe9E
— Trader Joe (@traderjoe_xyz) May 11, 2022
■おまけ
■おすすめツイッタラー
日本語公式(@avalanchejp)、ロイさん(@RoiSarak)、コバタケさん(@kobatake00000)
赤い上向き三角🔺が目印！
愛あるサポーターさんが活発なおかげで、日本語でAvalanche最新情報を取得できます。
5. Polygon [ポリゴン] (MATIC)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
イーサリアムが抱える課題「手数料の高さ」「ユーザーエクスペリエンスの低さ」「1秒あたりの取引回数の少なさ」などに対処するために作られたセカンドレイヤー・ネットワークソリューション。
イーサリアム発のNFTマーケット最大手、OpenSeaがサポートしていることもあり、NFT市場が活発。
■個人的な思い出
■有名人
設立者である4名のインド人エンジニア
Jaynti Kanani , Sandeep Nailwal , Anurag Arjun , Mihailo Bjelic
■おすすめツイッタラー
日本語公式(@0xPolygonJapan)、ひびきさん(@kyo_n1_133)
紫のハートマーク💜が目印！かわいい！
7．Solana [ソラナ] (SOL)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
BSC同様、バックに大手CEX(FTX)が付いています。
*厳密にはSBF率いるAlameda ResearchがFTX、Solana、SolanaのDEX：Serumに多額投資しています。
■期待と課題
2021年春のBSC DeFiバブル後、次はSolanaサマーが来るとして界隈は大いに盛り上がりました。下記画像を見た人も多いはず。秒間あたりに捌けるトランザクション数(TPS)が他チェーンより圧倒的に多く、ガス代も安価。有望なイーサリアムキラーと呼ばれていました。
しかしながら、Solanaチェーンは様々な要因でこれまで12回もチェーンを停止。信頼性を欠てしまい、現在も評判の回復が急がれています。
■個人的な印象
トレード、ステーキング、NFTミント等々試しましたが、トランザクション自体はさくっと通るのでストレスフリーです。ただチェーンが止まって資金が軟禁されるかも…という懸念でストレスマッハ。「停止してもまた動く」という実績はあるものの、大金を置くにはちょっと不安ですね。
■有名人
SBF (Samuel Bankman-Fried)
「アフロ」のあだ名で知られるAlameda Research(マーケットメイカー・VC)、FTX(CEX)設立者。泣く子も黙るトレーダー。1992年US生まれの30歳。
9．Cronos [クロノス] (CRO)
分散型アプリケーション(DApps)構築のためのブロックチェーン。
CEXであるcrypto.comが手がけ、プロジェクト設立応援のためのGrant(補助金)が盛ん。
■個人的な印象
Cronosチェーン自体は使ったことがないので何も言えません。
Crypto.comはEU銀行(SEPA)間の送金が早いので、アプリを愛用中、最近ようやくカードを注文しました！
■Cronosの今後
crypto.comのCronosページでは、次の3点がマイルストンとして共有されています。
- IBCブリッジをより多くのCosmosブロックチェーンに拡大、より多くのCosmosの資産をサポートする
- DeFiやWeb3を初めて知ったユーザーを含め、新ユーザーを増やす
- 暗号通貨の採用を加速させ、DeFi、ゲーム、メタバースプロジェクトを取り込んでいく
crypto.comはスポンサーシップに力を入れていることで知られ、直近ではカタールで行われるFIFAワールドカップ2022のスポンサーも務めます。非クリプト民への露出マーケティングが強いので、私は②に特に期待しています。
10. Fantom [ファントム] (FANTOM)
スマートシティの神経システムを担うためのブロックチェーン。
Fantomは2018年、Ahn Byung IkをメインにMichael Kong(Fantom財団現CEO)、Andre Cronje等により設立されました。Ahnはコンピュータサイエンスの博士号を持つ人で、当時既に韓国フードテック業界で成功していました。そんな背景からかFantomの理念や実装は他のチェーンに比べ異色です。
■Fantomプロジェクトの野心
- 高速で安全、かつ日常的に使えるスケーラブルなブロックチェーン技術で世界を変える
- 先進技術をより身近に、シームレスに統合し、すべての人の生活の質を向上させる
- 大量のデータとスピードの両方が求められる複雑なハイテク産業のITインフラのバックボーンになる(公共事業、スマートライフ関連製品・サービス、ヘルスケア、教育、交通管理、資源管理、環境管理などなど）
いまいち分からないな～という方はこちらのYoutube動画をご覧ください。企業PRでよくある未来は凄いんだね系ふんわりムービーですが、なんとなく想像がつくと思います。
Fantom公式サイトやホワイトペーパーはボリュームが多く、解説にはFantom専用記事が必要です。そちらはまたの機会に。
■個人的な思い出
Fantomが活発になった2021年春は、BSCでPancakeSwapやGoose Financeのフォーク詐欺プロジェクトが咲き乱れたラグプル百花繚乱時代。
比較的早い段階で登場したSpookySwap(Fantom上で現TVL1位)、SpritSwap(同10位)をローンチ時から知っていたものの、当時は両者ともコテコテのPancakeSwapフォークだったためあまり投資しませんでした。トークン価格こそ落ち込んでいるものの両者はまだ健在で、UI・機能共にオリジナリティ溢れる独自の変化を遂げています。こういった長く続くプロジェクトを初期に見抜く審美眼を身に着けたいところ。
おわりに：アヒルの見る夢
Ethereumのように確固たるブランドを確立したチェーンを除き、「速い」「安い」はもはや当たり前で、そこは競争要素になりません。他の要素で投資家を引き付けないといけないわけですが、一般層には「技術的におもしろい」「環境に優しい」「チェーンの理念」などはあまりウケず、「運営チームのバックに強いやつがいる」「知名度が高いプロジェクトがいる」といった”安心感”に繋がる要素が重視されます。これは現在の暗号市産業界の流れが著しくはやいこと、ボラティリティが高いこと、度重なるExploit、規制が完備していないこと等々の「不安」へのリスクヘッジだと思われます。
しかしながら、これはクリプトの大原則である「分散」「一部権力者/組織に依存しない」と矛盾します。マスアダプションに至るためにそもそもの存在意義に反しないといけないわけです。成長のために必要な痛みといいますか…仕方がない面もあるのですが、それを良いように利用して荒稼ぎしている人たちがいるのは事実。DYORの眼はよくよく養ってください。
今後はもっといろいろな(まともな)チェーンと(まともな)プロジェクトが増えて、ブリッジで容易に行き来できて、ユーザーがどこを使うか気軽に選べるようになれば良いな～と思います。
チェーン紹介その2では、10位未満のチェーンにつっこんでいきたいと思います。
